のあるのP生活

一プロデューサーの本業日記。

地球儀にない国と七尾百合子

2022年10月27日12:00

全七尾百合子担当Pが待ちに待った瞬間が訪れます。

僕はお昼休みになってツイッターを開いたときに知りました。

興奮のあまり過呼吸でニヤつきながらご飯を食べていたと思います。キモいな。

まあそれはともかく、この楽曲について語っていきます(唐突)。

1. コミュの概要

 百合子が大好きな小説「星風(せいふう)の守護者」の主題歌オファーが届くところから始まります。しかし好きな映画であるが故、即決できずに保留にしてしまいます。そこから周りの仲間やP、そして制作陣の思いを受け止めながら自身の原点に立ち返っていく。この原点回帰というところがもうクライマックスで主題歌が流れる展開そのもので胸熱です。いつもの早とちりからの妄想もしっかりそのままなのがなお良い。

2. 楽曲について

 ミリシタリリース後の初のソロ曲シリーズ「M@STER SPARKLE 01」に収録されています。もう5年前なんですね。初めての考察ブログなのでいろいろ試行錯誤してますし、多数あるコミュもほとんど触れられてませんが、ご容赦を。

2.1. イントロ

 ピアノのイントロから壮大な物語の開始を予感させます。前のソロ曲である「空想文学少女」がしっとり系だったので、第一印象が全く異なります。物語開始のワクワク感、ドキドキ感を表現しているのでしょうか。

2.2. 1番

 「この表紙をめくれば25ページでワープできるはず」

 もう七尾百合子の日常ですね。本の世界に入り込む過程を示しているフレーズと多くの先達も解釈しています。

 「白いペガサスにヒラリ飛び乗るの 光る時空の壁突き抜けて」

 ・・・いきなり躓きます。「光る時空の壁を突き抜け」、これは「現実世界→空想世界」を示しているのか?それとも「最初に飛び込んだ世界→王子(後述)が囚われている世界」を示しているのか?ペガサスはギリシア神話を由来とし、ファンタジー小説にもおなじみの伝説の生物ですが、ここだけではその役割がはっきりしません。とりあえず先に進みます。

 「羽ばたけ風になって エメラルドのあの海原を飛び越えて」

 「風」というのは重要なキーワードです。百合子が妄想空想の世界に入っているときに「風の戦士」とつぶやく、乙女ストーム!バージョンの「Welcome!!」で「風の精霊たちよ」とコールするなど、百合子とは切っても切れない関係にあります。自身の原点である「風」のように目的の場所へと向かっていきます。またここでさらに羽ばたくというキーワードが出てきます。そのままの意味で考えれば飛び乗っているペガサスの羽ばたきを指しているのではないでしょうか。これに伴い、ここでは先のフレーズの意味を「最初に飛び込んだ世界→きみ(後述)が囚われている世界」としておきます。

 また、ここでエメラルドという単語が出てきますが、ファンタジーでエメラルドといえば「オズの魔法使い」でしょう。もちろんそのままの世界ではないと思いますが、物語の世界観にオマージュとして加えていると考えてます。

 ある日、ドロシーとトトは竜巻に家ごと巻き込まれて、不思議なオズ王国の中のマンチキンの国へと飛ばされてしまう。落ちた家は、マンチキンたちを独裁していた東の悪い魔女を圧死させる。北の良い魔女がやってきてマンチキンたちと喜びを分かち合い、悪い魔女が履いていた不思議な力を持つ銀の靴をドロシーに授ける。良い魔女はドロシーに家に帰れる唯一の方法はエメラルドの都に行って壮大な魔力を持つオズの魔法使いに頼むことだと語る。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%BA%E3%81%AE%E9%AD%94%E6%B3%95%E4%BD%BF%E3%81%84

 この「エメラルドの海原」はMVでも意識されており、ちょうどこのシーンでペンライトが光る観客席が映ります。百合子がいる大陸と王子がいる大陸を隔てている大海なのでしょう。もしかしたらここに「光る時空の壁」があるのかもしれません。

 「虹の彼方 水晶のレムリア」

 これは「きみを捜しにに行く 夢の中でそう約束をした」、「わたしを呼ぶ」「きみ」が囚われている場所、そして百合子が目指す場所を指していると考えてます。レムリアはかつて隔離分布の説明のために提唱された架空の大陸ですが、クトゥルフ神話でも出てくるなど、創作物の舞台にされることも多いです。この物語ではこれに倣って、「虹の彼方」にある水晶でできたレムリア大陸を舞台の一つにしたのでしょう。

 こうして、主人公が「きみ」を捜しに行くファンタジー小説の中へ百合子が主人公としてなりきっている世界観ができあがり、2番へと続いていきます。

2.3. 2番

 「蒼いフクロウが合図している 城壁の向こう 夜が明ける前に きみを助けなきゃ 囚われの王子」

 ここでようやく「きみ」の正体が「囚われの王子」であることが明かされます。囚われた姫・王子を助けに行く展開は古今東西様々なフィクションで設定が見られる王道の展開です。ほ?

 「蒼いフクロウ」というキーワードがありますが、スピリチュアルな意味ではフクロウは困ったときの救世主を意味するそうです。たとえばこのフクロウは「王子」からみたお助けキャラ的な立ち位置なのではないでしょうか。「白いペガサス」が百合子の仲間だとすれば「蒼いフクロウ」が王子の仲間になっている、そのような対比になっています。(なぜ「」ではなく「」なのか、色の意味も考察したかったのですが、浅学故考えがまとまりませんでした。)

「胸のロザリオに願いかけましょう 石の扉だって開くよね?」

 たぶんこの場面で百合子は城壁の手前まで来たが進入をためらっているのではないでしょうか。本番を前にして緊張するときみたいに。本当に自分がこのまま行って助けられるのか?でもロザリオのおかげで突入する決心がついたのだと思われます。自分ならきっとできる!と。

「走ろう 風になって 幾千ものあの兵隊が眠る間に きみを救いに行く 愛は魔法 さあ鍵は開くよ」

 決心のついた百合子が風のように颯爽と囚われの王子がいる場所へと向かっていきます。夜が明ける前ですから人が眠っているのはある意味当然ですが、よくよく考えると守るという観点からでは無防備すぎる気がします。例えば「ルパン三世 カリオストロの城」では夜明け前でも兵士は常に戦闘の準備ができています。とすると、この兵士たちは眠らされたのではないか?と考えても不思議はないように思えます。

 そして固く閉ざされた扉の前にたどりつき、鍵が開きます。ここで鍵を開けた「魔法」が「愛」だということが示されます。アラビアンナイトの「開けごま」のような呪文もありますが、あえて愛にしているところが非常に気になります。また別の考察でやっていきたいな・・・

「やっと会えた 孤独なまなざし 見つめ合った切なさを 忘れない きっと会えるね? また君にきっと・・・」

 ここで囚われの王子と対面します。「やっと」となっているのは、夢の中で出会い、約束をしたそのときからずっと待ち焦がれていた気持ちがあるからでしょう。この王子はずっと一人だったことで孤独だったのが和らいだはずです。でもようやく会えたのに、見つめ合って切なさがこみ上げてくる。ここは物語が終わりに近づいていることを表していると思われます。物語の中では王子と主人公はずっと一緒なのでしょうが、百合子からみたら物語が終わればそこが王子との別れです。そうやって現実に引き戻される過程を表しているように見えます。惜しみながら物語が一度ここで幕を閉じます。

2.4. Cメロ~エントロ

 「風の戦士は帰る 地球儀にない国 大陸を旅してもいちど行きたいな」

 さてここがこの曲一番のポイントです。ここは人によって千差万別の解釈がありうると思いますが、自分はこれをこのように捉えていました。

 「風の戦士」・・・百合子自身

 「地球儀にない国」・・・この物語の舞台

 「大陸を旅して」・・・他の本を読む、経験をする、など、百合子自身のアイドルとしての物語

 「もいちど行きたいな」・・・もう一度この本の世界に入る=再読

 一つの物語でもまた読み直すことで新たな発見がありますし、登場人物のことをより深く理解することができます。ミリシタのコミュでもそのキャラのことを知ってから改めてメモリアルコミュ1をみると、なんとなくで見ていたときよりも感情移入することができ(と思って)ますが、他のコンテンツでも当てはまると思います。

 「冒険はまだ終わらない」

 このフレーズで楽曲が終わります。本質ですね。本の世界は読み返すことで何度も味わうことができます。

 

・・・本当にそれだけでしょうか。この冒険の主人公とは?

 

間違いなく七尾百合子です。とすると、これは七尾百合子というアイドルが「アイドルの世界」を冒険していることも暗に示しているのではないでしょうか。本の世界の主人公のように、アイドルの世界にいる百合子も冒険(≒お仕事)の毎日です。これを先ほどの「風の戦士は帰る~もいちど行きたいな」の解釈に当てはめると、アイドルとしての物語を進めることで百合子自身の成長も示しているのではないでしょうか。わざわざ挿入された最後のフレーズにはこういった意味が込められているのではないだろうか、そう考えてます。

3.終わりに

・・・フル音源を聴いてくれ。絶対良いから。